Statement
近年、SNSにはセルフィーが溢れ、自分自身のイメージをコントロールし表現することは限られた一部の人の作品としてではなく、一般的な行為となりつつある。また、コロナ禍では他者と対面せずオンラインで会議等が行われるようになり、カメラに捉えられた自己の姿をモニター上で認識する機会もますます増えた。そもそも人々が現在のような自己意識を持つようになったのは、鏡の影響によると言われている。明るく鮮明に反射する安価な鏡は1835年に発明され、一般的家庭にも普及するようになった。すると当時の文学作品には最先端の光学装置が登場し、「分身」が人々の関心を引くテーマとなった。鏡の中に現実とよく似た別の世界が広がっており、もう一人の自分が自分の預かり知らぬところで生きているのではないかという想像が共有されたのだ。本展覧会では19世紀の光学装置と現代のテクノロジーを組み合わせ、展示室内に鑑賞者の「分身」を出現させることで、現代のアバター化する自己認識を描き出すことを試みる。
Talk Event
予約制●11月12日(土)14:00-
2019年から2020年にかけて約一年間、新聞連載小説『本心』平野啓一郎・作/菅実花・画でタッグを組んだ二人が、連載終了から二年を経て小説家と美術作家の立場から、社会と創作の関係性について語り合います。
TOKAS本郷3Fの会場、オンライン配信、アーカイブ配信を予定しています。詳細はTOKASのウェブサイトをご確認ください。
菅実花
美術作家
1988年神奈川県生まれ。2021年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。2016年にラブドールを妊婦の姿に加工しマタニティフォトを模して撮影した写真作品《The Future Mother》を修了制作展で発表し注目を集める。人形写真という二重にメディア化されたイメージを用いることによって、生命と非生命、本物と偽物、過去と未来など対比そのものを撹乱する。主な個展に2019年「The Ghost in the Doll」原爆の図丸木美術館(埼玉)。2021年「BankART U35 菅実花個展」BankART KAIKO(横浜)「仮想の嘘か|かそうのうそか」資生堂ギャラリー(東京)。出版・連載に2018年共著『〈妊婦〉アート論』(青弓社)、2019–2020年『本心』作・平野啓一郎(北海道・東京・中日・西日本新聞朝刊)の挿絵。『週刊読書人』で写真とエッセイを連載中。VOCA展2020奨励賞受賞。
公式サイト:http://mikakan.com/
平野啓一郎
小説家
1975年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒業。
1999年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。40万部のベストセラーとなる。以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。
著書に、小説『葬送』、『滴り落ちる時計たちの波紋』、『決壊』、『ドーン』、『空白を満たしなさい』、『透明な迷宮』、『マチネの終わりに』、『ある男』等、エッセイに『本の読み方 スロー・リーディングの実践』、『小説の読み方』、『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』、『考える葦』、『「カッコいい」とは何か』等がある。
2019年に映画化された『マチネの終わりに』は、現在、累計60万部超のロングセラーとなっている。『空白を満たしなさい』の連続ドラマ化に続き、『ある男』を原作とする映画が2022年秋に公開予定。
最新作は、「自由死」が合法化された近未来の日本を舞台に、最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子が、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする長編小説『本心』。
公式サイト:https://k-hirano.com/
公式メールレター:https://k-hirano.com/mailletter
©ogata_photoExhibition
OPENSITE7
菅実花 「鏡の国」
2022年10月22日(土)−11月27日(日)
11:00-19:00(入場は閉館30分前まで)
月曜休館
入場料無料
〒113-0033
東京都文京区本郷2丁目4−16
アクセス
●御茶ノ水駅(JR 中央線・総武線:御茶ノ水橋口/ 東京メトロ丸ノ内線:1 番出口)
●水道橋駅(都営地下鉄三田線:A1 出口/JR 総武線:東口)
●本郷三丁目駅 ( 都営地下鉄大江戸線:3 番出口/ 東京メトロ丸ノ内線:1 番出口)
各駅より徒歩7 分
※会場に駐車場はありませんので、近隣の有料駐車場などをご利用ください。
主催:公益財団法人 東京都歴史文化財団 東京都現代美術館 トーキョーアーツアンドスペース助成:公益財団法人 野村財団SNS
#鏡の国 #throughtheselfie